広島市中区の本通りや金座街には日中、派手なジャンパーや制服姿の街頭指導員が立つ。
一帯は自転車等放置規制区域で、アーケード内は正午から午後八時まで自転車走行が禁じられている。指導員は、自転車のマナー違反に目を光らせる。
「降りて押す人がだいぶ増えましたよ」と、県警マナーアップ指導員の益本隆行さん(54)。二〇〇二年暮れ、警告を無視して自転車で走った男性が書類送検されたのを機に、乗ったままの人は目立って減った。アーケード内に入る自転車の台数自体も、一年半前の指導員が立ち始めた時期と比べ、三分の一になった。
広島の都心では、自転車へのまなざしは厳しい。週に一度は街歩きをする広島市立大三年大下浩司さん(22)=廿日市市=は、そんな雰囲気が、最も手軽な交通手段を排除しているように感じるという。
「マイカー客には駐車場代の割引があって、自転車や公共交通機関の利用者に何もないのは不公平ですよね」。商店街も、自転車に敬遠されては売り上げに響く。
今回導入するのは「買い物駐輪券」。通常通り、駐輪場で一回の利用料百円(学生などは五十円)を前払いする。引き換えに渡される駐輪券を持って協力店で買い物すると、同額が戻ってくる仕組みである。
実は、一九九九年と昨年にも駐輪サービスを実施した。買い物客や路上に自転車を止めた人に、無料券を配った。
結果は散々だった。使われた無料券は、九九年が八十八枚、昨年は百九十六枚配って三十三枚。次回以降しか使えないため、「死蔵」された可能性が高かった。
商店街は今回の「キャッシュバック方式」で、使い勝手のいい駐輪サービスのあり方を探る。
2004.1.30
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