安芸灘での延縄(はえなわ)漁(55年、山口、広島県境付近)。岩国市沖では当時、アナゴやフグの延縄漁が盛んだった。長さ1000メートルの幹縄に、針を仕掛けた枝縄を約500本も付けていたという。
「同じ漁場に多くの漁師が出ていた。他の船の縄と絡み、もめることもしばしばあった」と同市漁協(約700人)の沖井勝広組合長(63)。その後、漁船は手こぎから動力船になって大型化し、漁法もかごや底引きに変わっていった。
「針で釣る方が魚が傷まず、価格も上」というが、手間が掛かるため、延縄漁を続けている漁業者は激減。延縄は瀬戸内海の漁業繁栄の象徴だったのかもしれない。