トップページ
 関連記事
 連載
 特集
 賛同者メッセージ
 English
広島国際文化財団
 理事長挨拶
 事業内容
 募集要項
 募金のお願い
中国新聞
 原爆・平和特集
関連リンク
 中国放送
 広島県
 広島市
 広島平和文化センター
 広島平和研究所
 国連大学
 ユニタール広島
■特集 ボスニア・ヘルツェゴビナ編 紛争を超えて
死者20万人 独立が引き金 対立激化 '05/2/7

 主要三民族の間で最も大きな差は宗教だ。セルビア人はセルビア正教、クロアチア人はカトリック、ムスリム人はイスラム教を信じる。ムスリム人はオスマン帝国支配時代に改宗した人々である。外見上、三民族の差はほとんどない。

 セルビア語はキリル文字、クロアチア語とボスニア語はアルファベットを使う。が、話し言葉は語彙(ごい)が少し異なるだけで、日常会話を互いに交わすのに支障はない。地元の人でさえ名前や住所から相手の民族を察する。

 旧ユーゴスラビアは、建国の父チトー大統領の死去(一九八〇年)に続くソ連の崩壊(九一年)で解体。クロアチアなど三カ国が九一年に独立を宣言。ボスニアと新ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)も九二年に続いた。

 ボスニアの独立は、セルビア人が棄権した住民投票で決められた。それを機に、セルビア人と他の二つの民族が対立。その後、ムスリム人とクロアチア人の間でも戦い始めた。

 セルビア人は隣国の新ユーゴ、クロアチア人も隣国クロアチアが支援。ムスリム人はイスラム諸国の義勇兵(ムジャヒディン)が加勢し、紛争は泥沼化した。町々によって、敵対した民族の組み合わせや戦闘の様子、被害が異なる。「勝者なき戦い」といわれるゆえんである。

 北大西洋条約機構(NATO)によるセルビア勢力への空爆など国際的な介入を経て、九五年に和平協定が結ばれた。

 国内は現在、ムスリム人とクロアチア人の「ボスニア連邦」と、セルビア人の「スルプスカ共和国」という二つの政治主体に分かれ、それぞれが軍隊と警察を持つ。主要民族の代表からなる閣僚評議会が中央政府の役割を果たしているが、力は弱い。国家元首に当たる大統領評議会議長は三民族の代表が八カ月ずつ務めている。


MenuTopBackNextLast