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■特集 インド編 核の現状と展望
デリー・サイエンス・フォーラム代表委員 ジャヤプラカッシュさんに聞く '05/3/16

 ■不平等なNPT 加盟困難

 「すべて非核国」めざせ■

 インドの核政策に詳しい研究者で、民間非営利団体「デリー・サイエンス・フォーラム」代表委員のN・D・ジャヤプラカッシュさん(55)に、核拡散防止条約(NPT)に対するインド政府の立場や核兵器廃絶への見通しを聞いた。

 ―かつてインドは非同盟諸国のリーダーとして核兵器廃絶を訴えてきました。

 マハトマ・ガンジーは一九四六年に、彼の論文で原爆投下を非難した。五四年、米国がビキニ環礁で実施したブラボー実験の直後には、ネール首相がインド国会で核実験の停止を呼びかけている。その後も国際社会に、核開発は平和利用に限定するよう訴えてきた。

 ―それが核兵器保有国になり、国際的な枠組みであるNPTに反発を続けています。

 そもそもNPTも包括的核実験禁止条約(CTBT)も、インドが最初に提案したことはあまり知られていない。NPTについてインドは、@この条約は核保有国にも非核保有国にも核拡散につながるいかなる逃げ道もつくってはならないA核保有国も非核保有国も相互に平等に責任と義務を負うことを実現させなければならないB一般的で完全な軍縮の達成に向けたステップにせねばならない―を主文に掲げた草案を提出した。しかし米国などは最終文書で、この三項目を落とした。

 NPTは、インド政府に言わせると、米ロ英仏中の五大国だけが持つことを許された不平等で差別的な条約だ。同様な経緯がCTBTにもある。インドが求めてきた本当の意味で包括的な禁止条約になっていない。このためインド政府は、核軍縮に関して常に「国際社会から無視されてきた」と思っている。

 ―国際社会は「非核保有国」として、インドのNPT加盟を求めています。

 私はインドの核保有に反対の立場だが、現状のNPTに、インドが非核保有国として加盟するのは不可能だと考える。条約発効の経緯やインドの言い分を忘れ、NPT体制の問題点を再検討しないで、ただやみくもに事実上の核保有国である印パ両国に加盟を促すのは、NPTが認める核保有国の「P5」を「P7」にするようなものだ。

 ―インドがリーダーシップをとって核兵器廃絶に取り組む希望は?

 一方的な廃絶は厳しいだろう。世界の核情勢、パキスタンとの関係など、多くの国民は政府に核兵器保有の必要性を信じ込まされている。彼らを納得させるのは難しい。国内の平和運動家たちは、第一段階として印パ両国間の脅威を減らせるよう、信頼醸成に取り組んでいる。

 ―国際社会に何ができますか。

 例えば南アジアの非核兵器地帯の設置だ。核を持っている国が持たない国を攻撃しない確約をするなど、脅威をなくす努力をしなくてはいけない。冷戦期とは違い、米国一国が力を持つ今の国際情勢において、地域的な核軍縮はあまり意味を持たない。米国を含めたすべての国が核兵器の使用禁止に合意し、続いてコンピューター・シミュレーションも含めたすべての核実験をやめる。兵器用核分裂性物質の生産、ミサイル開発や武器売買もやめる。保有国と非保有国の不平等をなくし、すべてを非核国にする方向で動かなくてはいけない。

 <プロフィル>ジャワハルラル・ネール大卒。在学中からベトナム反戦運動などに取り組む。専門は軍縮や開発など主に科学分野でのインドの政策。「核軍縮と平和のための全インド連合」調整委員。


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