警備員の難波さん、22人の体験まとめる
被爆建物である旧日本銀行広島支店(広島市中区袋町)の警備員を務める難波康博さん(66)=安佐北区あさひが丘=が、建物内での被爆者の体験記を冊子にまとめた。六日、遺族の一人で中区白島北町に住む松田勝子さん(79)に手渡す。
きょう遺族に贈呈
民間警備会社の社員である難波さんは二〇〇〇年から同支店を担当。「来館者から尋ねられたときに備え、建物の歴史をひもといておきたい」と、ゆかりの被爆者の証言を聞いたり、手記を譲り受けたりしながら情報を蓄えてきた。
松田さんは、同支店三階の広島財務局で被爆死した妹の山下美智子さん=当時(18)=の足跡を求め、建物の一般公開が始まった〇一年に訪問。難波さんと出会い、美智子さんに触れた手記を見せてもらったのを機に親交を深めたという。
冊子はA4判、百三十ページ。難波さんが「松田さんのために」と、これまで集めた二十二人の被爆体験を一週間がかりでとじ合わせ、一冊だけ製本した。「街が消えた日」と題名も付けた。
松田さんは「偶然知り合った難波さんのおかげで、妹が体験した『あの日』を知ることができた。感謝の気持ちは言い尽くせない」と話している。
【写真説明】松田さんに伝えたいと「あの日」を刻んだ冊子を広げる難波さん
    
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