社説・天風録
(天風録)平和市町会議の広がり '05/8/4

 「中央政府が変革できなくても、自治体には実現できると期待」―ある海外代表の核廃絶への思いである。平和市長会議の被爆六十周年記念総会が、きょうから広島市中区の広島国際会議場で開かれる。核拡散防止条約(NPT)再検討会議の不調を受け、核廃絶戦略を練り直す▲核の闇市場、ずるずる進む核拡散、使える核を志向する米国…。世界がおかしい方向に流れている、と危機感を持つ人は少なくない。平和市長会議が、二〇二〇年までの核廃絶を目指す「2020ビジョン」を発表して二年もたたないうちに、同会議の加盟都市が五百五十五から千八十へと倍増したのもそのせいだろう▲一番増えたのはベルギー。六都市から二百三十五都市になった。昨年二月、同ビジョン支持を決議した欧州議会。本部があるベルギーの首都ブリュッセルが、各都市に働きかけたという。ドイツもスウェーデンも増えた▲興味深いのは、米国でも二十七都市増えたことだ。昨年六月、全米市長会議までが、同ビジョンの支持を決議した▲中国新聞の事前アンケートに対し世界の参加都市から「武器に頼るものは武器に滅びる」「変化の息吹は市民こそ起こす」といった力強い声も届いた▲一方で自民党は憲法改正草案一次案を公表した。「戦争放棄」が「安全保障」に変わり、「戦力の不保持」「交戦権の否認」などの言葉が削られた。「日本はどこに向かうのか」との批判も出そうだ。


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