原爆の炎に焼かれてから六十年。鎮魂の朝が、再び巡り来た。広島市は六日午前八時から中区の平和記念公園で、原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。小泉純一郎首相をはじめ、「三権の長」も参列。あまたの犠牲を悼み、平和な世を祈る。
式典では、秋葉忠利市長と二人の遺族代表が、この一年に亡くなったり、新たに死亡が確認されたりした五千三百七十五人の名前を記した二冊の原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納める。これで名簿は八十五冊、二十四万二千四百三十七人となる。
原爆投下時刻の午前八時十五分、遺族とこども代表がつく「平和の鐘」に合わせ、参列者は黙とうをささげる。秋葉市長は「平和宣言」で、すべての原爆犠牲者に哀悼の意を表すとともに、核軍縮に逆行する核保有国などの姿勢を批判。被爆地の決意として、核兵器の廃絶に向けた行動を世界の市民に呼び掛ける。
小泉首相、河野洋平衆院議長、扇千景参院議長、町田顕最高裁長官らがあいさつ。国連のコフィー・アナン事務総長のメッセージを阿部信泰事務次長が代読する。
式典は例年より二十分長い六十五分間。午前九時五分、「ひろしま平和の歌」で締めくくる。
最高気温が三五・〇度を記録した五日に続き、「あの日」を思わせる猛暑が予想される。市は水筒やペットボトルの持参、帽子の着用を呼び掛けている。
慰霊の集いは、公園の内外に点在する学校や職域、地域の碑でも相次ぐ。被爆地は終日、追悼の祈りに包まれる。
【写真説明】きょう、被爆から60年。あの日の犠牲を悼む人波が、原爆慰霊碑へと行き来する (撮影・宮原滋)
    
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