再開発が進む広島市南区段原地区の段原中で三日、前身の旧第一国民学校の死没者を悼む慰霊祭があった。二〇一〇年度に学校は移転し、慰霊碑も移設が検討されている。「場所が変わっても継承したい」。約五百人の参列者は、静かに手を合わせた。
爆心地から約二・六キロ。校舎全壊は免れたが、建物疎開に動員された生徒や教員四十八人が死亡。校舎は臨時の救護所となり、被災者が収容された。慰霊碑は一九九〇年に卒業生らが寄付で建立。慰霊行事を続けてきた。
この日は慰霊祭に先立ち、四年前まで同中そばに住んでいた坪井直日本被団協代表委員(83)が体験を語った。一年小西鈴音さん(13)は「聞いた話や歴史を忘れず、引き継いでいく」と話した。
卒業生で慰霊碑建設委員会の戸井五郎会長(78)は、自身も被爆者。「再開発や移転でどんなに周囲の風景が変わっても、慰霊は続けていく」と誓いを新たにした。(森田裕美)
【写真説明】亡くなった教職員や子どもたちをしのび、誓いを新たにする参列者たち
    
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