中国新聞社
2012ヒロシマ
'12/7/31
平和宣言でエネ政策確立求める 「黒い雨」地域拡大も

 広島市の松井一実市長が8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の概要が30日、分かった。福島第1原発事故を受け、市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を早急に確立するよう政府に求める。広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」の指定地域拡大に向けた政治決断も迫る。

 政府は新たなエネルギー・環境戦略の決定に向け、将来の原発比率を軸に全国各地で意見聴取会を開いている。宣言では、原発をめぐりさまざまな意見があることに触れ、エネルギー政策の取りまとめに際して暮らしと安全を守る必要性を強調する。昨年の宣言では政府にエネルギー政策の見直しを求めた。

 原発の是非には言及しない一方、「核と人類は共存できない」との故森滝市郎・広島県被団協初代理事長の言葉を引用する。「脱原発」を主張する声として昨年も取り上げた。

 東日本大震災と原発事故の被災地への励ましの言葉も盛り込む。

 市が求めてきた「黒い雨」の指定地域拡大については、「政治決断」の言葉を使って政府に強く求める。

 昨年4月に就任した松井市長が平和宣言を読み上げるのは2回目。昨年と同じく、公募した被爆者の体験談を引用する。ことしは被爆直後の街の惨状や家族を亡くした悲しみをつづった3点を採用。原爆投下前の生活と対比し、原爆で失われたものの大きさを強調する。(田中美千子)


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