中国新聞社
2012ヒロシマ
'12/8/6
安全なエネ政策訴え 被爆67年式典、松井市長が平和宣言


 ▽核なき世界実現を

 広島は6日、被爆67年の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)が営まれ、約5万人(市発表)が参列。犠牲者に祈りをささげ、核兵器廃絶を誓った。福島第1原発事故を機に、核の平和利用の是非を問う声が高まる。松井一実市長は平和宣言で、市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を一刻も早く確立するよう政府に求めた。

 午前8時、開式が告げられると、松井市長と遺族代表2人が原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納めた。この一年で亡くなったか、新たに死亡が確認された被爆者は5729人。名簿は2冊増えて102冊になり、28万959人の犠牲を刻む。

 原爆投下時刻の午前8時15分。遺族代表の会社員原戸勇二さん(42)=安佐北区=と、こども代表の八幡小6年岸本聖来(せいら)さん(11)=佐伯区=が「平和の鐘」を突き、参列者は1分間の黙とうをささげた。

 続く平和宣言で松井市長は公募で選んだ被爆者3人の体験談を引用し、「核兵器の非人道性を訴え、廃絶に尽力してきた被爆者の切なる願いを世界に伝えたい」と訴えた。

 政府には、原発事故を教訓に市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策の早期確立を迫り、核兵器廃絶に向けたリーダーシップを発揮するよう求めた。東日本大震災と原発事故の被災者が前向きに生きようとする姿は67年前に被爆を経験したヒロシマに重なるとし、「私たちの心は皆さんと共にある」と力を込めた。

 こども代表の比治山小6年三保竜己君(11)=南区=と安北小6年遠藤真優さん(12)=安佐南区=が「平和への誓い」を読み上げた。「平和をつくり続け、仲間とともに行動していく」と締めくくると大きな拍手が湧いた。

 野田佳彦首相、湯崎英彦広島県知事があいさつ。野田首相は「脱原発依存の基本方針の下、中長期的に国民が安心できるエネルギー構成の確立を目指す」と述べた。(城戸収)

【写真説明】松井市長の平和宣言終了後、放たれた約千羽のハトが原爆慰霊碑の上を舞った=6日午前8時25分(撮影・田中慎二)



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