中国新聞社
'13/8/6
「絶対悪」核廃絶を 松井広島市長が平和宣言


 広島は6日、原爆の日を迎えた。米国による原爆投下から68年。広島市中区の平和記念公園では、原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)が営まれた。約5万人(市発表)が参列。鎮魂の祈りをささげた。松井一実市長は平和宣言で、被爆者の願いと核兵器の非人道性を訴える国際世論の高まりに応え、「廃絶に取り組むための原動力にならなければならない」と決意を表明した。

 午前8時、式典は始まった。松井市長と遺族代表の2人が原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納めた。この1年で亡くなったか、新たに死亡が確認された被爆者は5859人。名簿は2冊増え104冊、28万6818人となった。これとは別に長崎で被爆、遺族の希望で広島に納める9人を記した名簿1冊がある。

 原爆投下時刻の8時15分、遺族代表の大学職員佐古田史織さん(32)=安佐北区=と、こども代表の袋町小6年伊藤麟太郎君(11)=中区=が「平和の鐘」を突き、参列者は1分間、黙とうした。

 続く平和宣言で、松井市長は被爆者5人の体験談を引用し、核兵器を「絶対悪」とあらためて否定。各国の指導者に向け、核の「威嚇」から「信頼と対話」に基づく安全保障体制への転換を決断するよう訴えた。

 被爆地広島を「日本国憲法が掲げる平和主義を体現する地」と強調。日本政府が核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核兵器保有国インドと原子力協定交渉を進めることに対し、「核兵器廃絶の障害となりかねない」と懸念を示した。

 こども代表2人による「平和への誓い」では、吉島東小6年竹内駿治君(11)=中区=と口田小6年中森柚子(ゆず)さん(11)=安佐北区=が「さあ、一緒に平和をつくりましょう。大切なバトンをつなぐために」と呼び掛けた。

 安倍晋三首相、湯崎英彦広島県知事もあいさつ。安倍首相は「非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶と恒久平和の実現に力を惜しまぬことを誓う」と述べた。原発を含むエネルギー政策には言及しなかった。

【写真説明】被爆68年。松井市長の平和宣言終了とともに、約千羽のハトが放たれた平和記念式典=6日午前8時25分(撮影・荒木肇)



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