広島市は、被爆者や遺族の高齢化を受け、平和記念式典会場わきの広島国際会議場内に、参列者席を初めて設けた。約240人が利用し、冷房の効いたホールで式典の生中継を見守った。屋外の会場には看護師4人が待機し、参列者の体調の変化に備えた。
式典開始の午前8時、中区の気温は27・5度まで上がった。会議場のホールでは車いすやつえを使うお年寄り、ベビーカーを押す母親たちが参列。縦5メートル、横7・5メートルのスクリーンを見詰め、午前8時15分に黙とうした。
原爆で両親を失い、自身も被爆した安佐北区の農業宅見文子さん(79)は、会議場内に席が設けられると知り、約10年ぶりに出席した。「被爆当時の記憶がよみがえった」と涙を拭い、「ホールでの中継は来年以降も続けてほしい」と求めていた。(榎本直樹)
【写真説明】平和記念式典が生中継された広島国際会議場のホールで、黙とうする参列者




