中国新聞社
'13/8/7
フクシマ、ヒロシマと歩む 若者3人が式典に参列

 ▽古里復興 勇気得た

 福島第1原発事故から間もなく2年半。体験の風化をどう食い止め、放射線と向き合うか―。6日、広島市を訪れたフクシマの被災者は被災地の現状と連携を呼び掛けた。ヒロシマの支援者は、同じ核の被害に苦しむ仲間にそっと寄り添った。

 「被爆地がどうやって復興したのか、確かめたい」。福島県の若者3人が、平和記念式典に臨んだ。ヒロシマの歩みを、福島第1原発事故に打ちのめされた古里に重ね、前に進む勇気を得た。

 ことしの平和宣言は、被爆を理由に偏見にさらされた女性の苦しみを紹介した。「福島と同じだったんだな」。原発事故後、同世代の女性と企画会社を設立した日塔マキさん(30)=猪苗代町=はそう思った。会津木綿のピアスや被災地を巡るツアーなど、少しずつ商品が増えている。

 一方、将来の結婚や出産への心配は残る。日塔さんは「その不安を乗り越えた女性が、広島にはたくさんいる」。式典会場を、心強そうに見渡した。

 体験を受け継ぐ場に立ち会い、鎌田千瑛美さん(28)=福島市=は「福島には、福島に合ったメッセージの伝え方があるはず」と受け止めた。女性の集いを開く市民団体「ピーチハート」共同代表を務める。子どもたちに原発事故の経験を伝える道に思いを巡らせた。

 被災地の現状を発信する社団法人ふくしま会議の佐藤健太理事(31)=福島市=は、平和への誓いのこども代表が「大切なのは、わたしたち一人一人の行動なのです」と呼び掛ける声に聞き入った。「健康被害の認定など、放射線とは今後長く向き合う。ヒロシマの経験に学びたい」と決意した。

 3人は、広島のグループ「メイプリー」が招いた。森川幸智子顧問=安佐南区=は「広島でいろいろな団体と交流を深め、復興を進める力にしてほしい」とエールを送った。(桑田勇樹)

【写真説明】式典会場で原爆慰霊碑を見つめる佐藤さん(左)、日塔さん(中)、鎌田さん



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