広島県蒲刈町の蒲刈中で九日、広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の「出前授業」があった。第一陣で南アフリカとイランを訪ねた被爆者の寺本貴司さん(70)=広島県大野町=と、第三陣でフランス、英国、スペインを同行取材した中国新聞の森田裕美記者(31)が体験を語り、生徒たちができる平和への取り組みについて助言した。
同校は生徒数四十六人。二人は学年ごとに、現地の写真や地図を示しながら核兵器に対する訪問国の考え方の違いや、戦争被害者との交流を通じて学んだ「対話」の重要性を強調した。
寺本さんは白人による有色人種への人種隔離政策(アパルトヘイト)が続いた南アフリカで、未来に向けて互いの憎しみを超えた平和教育の取り組みを紹介。「差別やいじめをせず、周りの人を思いやる。そうした小さな行為が大きな平和につながる」と語り掛けた。
三年の木村麻紀さん(15)は「今も世界にはいろいろな暴力があるのだと初めて知った。戦時中を生きたおじいちゃんの話を聞くなど自分にできることから始めてみたい」と話していた。
蒲刈中では三年生が英語の授業で、原爆で亡くなった子どもの物語を学んでおり、その一環として取り組んだ。総合的な学習で全校生が国際理解にも取り組んでいるため一、二年の学年でもそれぞれ実施した。
【写真説明】現地の様子をスクリーンに映しながら、南アフリカやイランでの体験を生徒たちに話す寺本さん(左奥から3人目)
   
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