【ウィルミントン18日岡田浩一】米国を巡っている広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第六陣は十八日午後(日本時間十九日早朝)、被爆者の村上啓子さん(68)=広島市中区出身=を新たに加え、広島市特別名誉市民である故バーバラ・レイノルズさんゆかりのオハイオ州ウィルミントン市のウィルミントン大を訪ねた。
キャンパス内の平和資料センター(旧広島・長崎記念文庫)は、広島から母国に帰ったレイノルズさんが大学側に呼び掛けて、一九七五年設立された。レイノルズさんは七七年まで初代ディレクターを務めた。
センター内の防火金庫には、彼女が広島と長崎から持ち帰ったり、送ってもらった原爆関連の写真や資料約十万点が保管され、現在も各国から資料の問い合わせがある。
同大の学生は入学後、必修科目として同センターで原爆の実態を学んでいる。周辺の中学生への教育キャンプなども実践。地域の平和教育の拠点施設になっている。
ダニエル・ディビアシオ学長(56)は「レイノルズさんの偉業は、学生に国際的な視野を持たせる役割を果たしている。正義のために信念を貫く姿勢を学ばせたい」と彼女の功績をたたえた。
レイノルズさんは、厳しい米ソ冷戦時代の六四年、「広島・長崎世界平和巡礼」を提唱し、被爆者や学者ら四十人で、欧米八カ国を平和行脚して核兵器廃絶を訴えた。
彼女の遺志を継ぐ今回のミッションメンバーで大学三年の前岡愛さん(20)=広島市東区出身=は「レイノルズさんの精神が今も息づいている。彼女の影響力の大きさをあらためて知った」と話していた。
【写真説明】平和資料センターの担当者(左端)から保管資料の説明を受ける右から村上さん、前岡さん、スティーブ・コラックさん(撮影・松元潮)
   
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