往年のスターがよみがえった。広島東洋カープの19選手のレリーフをマツダスタジアム(広島市南区)に掲げるキャンペーン「カープの星」(中国新聞社主催)。第1弾の5人のレリーフが除幕された3日、本人や遺族は、野球人生をしみじみと振り返った。
「ゴジさん」の愛称で親しまれた元内野手の藤井弘さん(74)=広島県府中町=は除幕式に先立ち、球場内の中国新聞ボールパークステーションで、トークイベントに出演。同じくレリーフとなった、故人で元選手兼監督の白石勝巳さん、元投手の長谷川良平さんと活躍した当時の秘話を語った。
本塁打を打った長嶋茂雄さんがベースを踏み忘れた球史に残るエピソードで、ミスを指摘したのが藤井さんだったことについて「ベースを踏んだか、どうかを確かめるのは白石さんの教えだった」とかつての師をしのんだ。選手時代の最も印象深い思い出には、長谷川さんとのオールスター戦出場を挙げた。
控室では、白石さんの妻玉江さん(84)=横浜市=と再会。藤井さんは「変化球は打てんわ、守れんわで本当に迷惑を掛けた」と振り返った。玉江さんは監督と選手を兼務していた夫の姿を「球団運営の資金集めに奔走して、大変でした」と語った。
「本当にうれしそうだった」。長谷川さんの孫で大学2年の向井うららさん(19)=東京都=はレリーフを見ながら、2001年に野球殿堂入りした祖父の笑顔を思い起こした。「小さな大投手」のひたむきな姿を誇っていた。
除幕式後、永久欠番のスター2人も喜びをあふれさせた。衣笠祥雄さん(63)は「60年という長い歴史のカープがあってこそ生まれた記録。歴代の名選手たちと飾ってもらえるのは非常に光栄だ」と感謝。山本浩二さん(63)は「チームに育ててもらった。立派なものを形として残していただき、ありがたい」と力を込めた。(松本大典、山本修)
【写真説明】除幕式を終えてカープの試合を観戦する左から向井さん、藤井さん、白石さん
|