北米&中南米

デイトン国際平和博物館(米オハイオ州)

(09年5月12日)

◆教育専門家 ケイト・ジョンソン

 米オハイオ州西部に位置するデイトン市は、1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ和平交渉が行われた地として国際的に知られている。米空軍博物館があることでも有名だ。

 「暴力の文化を平和の文化に変え、子どもたちが『平和の創造』を学ぶ場を提供しよう」。2005年10月、市中心部にある19世紀に建てられた邸宅に、デイトン国際平和博物館は開館した。100人以上のボランティアが集まり、元軍人で警察官を引退したスティーブ・フライバーグ氏が無報酬で館長に就任した。

 以来、平和のための重要な文化・教育機関としての地位を確立。ボスニア紛争やベトナム戦争の写真展、スーダンで続く人権侵害を扱った展示など20回以上、非暴力と社会正義に関する企画展に取り組んだ。

 常設展では、ヒロシマ・ナガサキをテーマにした芸術作品や、貧しい人や環境保護のために尽力し、アマゾン流域で殺害された修道尼ドロシー・スタンさんの活動を紹介。同時に、地元の学校で非暴力による紛争管理教育を実施しているほか、夏季平和キャンプなど、地域に根ざした多彩なイベントも展開してきた。

 博物館のマスコット、ビッグ・ダブ(大きなハト)は、毎年開かれる平和の日の祭典などで、お年寄りや子どもたちに大人気。中古車を改造した移動平和自動車も巡回している。

住所 208 W. Monument Ave., Dayton, OH 45402 USA
電話 +1-937-227-3223
ホームページ http://www.daytonpeacemuseum.org/ 
休館日 月曜、火曜、主な祝日
入館料 無料(寄付歓迎)

(2009年5月4日朝刊掲載)

※写真はクリックすると大きくなります。  


スーダンで今も続く「ダルフール紛争」を紹介した企画展の様子


デイトン国際平和博物館の外観。19世紀に建てられた邸宅を使っている


博物館のマスコット「ビッグ・ダブ(大きなハト)」は子どもたちに大人気


中古車を改装した移動平和博物館