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■特集 ロシア編 核大国の軍縮
原潜/核弾頭・ミサイル '04/12/2


 ■原潜 極東 40隻が未処理

 ロシアの核抑止戦略の柱は、戦略核弾頭に加え、それを運搬する原子力潜水艦と戦略核ミサイルである。冷戦時代、ソ連は原潜二百四十七隻を建造した。搭載されていた原子炉は四百基余り。その発電容量は、ロシア全土の原子力発電所(三十基)に匹敵した。

 一九八〇年代半ばから老朽化した原潜が一線から「退役」を始め、その数はこれまでに百九十四隻に上る。退役原潜の管理、解体を担うロシア原子力局によると、すでに百十一隻が解体された、という。が、解体待ちの原潜の大半はまだ核燃料を積んだまま、バレンツ海のコラ半島や極東地域の港に係留されている。

 船体が腐食して沈没すれば、周囲の環境に計り知れない被害を及ぼす。さらに、原潜は小型の原子炉で高出力を得るため燃料のウランを「40%に濃縮して使う」(同原子力局)という。原発用燃料の八―十三倍で、粗製の核兵器として使えるほど濃縮度は高い。テロ組織に狙われる危険性もある。

 九一年末のソ連崩壊後、経済的な混乱から解体作業は停滞している。主要国首脳会議(G8サミット)は二〇〇二年、カナダのカナナスキス・サミットで大量破壊兵器の拡散防止を目的とする「グローバル・パートナーシップ」に合意。十年にわたって二百億ドル(約二兆六百億円)を上限とする支援を約束。日本も二億ドル(約二百六億円)の協力を決め、独自に〇三年から原潜解体協力事業「希望の星」に取り掛かった。

 具体的にはウラジオストクから約百キロ東のズベズダ工場で、支援金を使って太平洋艦隊所属の原潜一隻を解体。今年九月に作業を終えた。日本政府は二隻目の解体協力も検討している。

 原潜の解体は燃料棒を抜き取った後、船体を九つに輪切りする。うち原子炉を搭載していた部分と前後の計三ブロックを再接合し、ブイにつけて海面に浮かせている。

 この状態を「原子炉モジュール」と呼んでいるが、保管が厄介である。北方艦隊の原潜解体作業では、モジュールを保管する陸上施設が、ドイツの協力でコラ半島に〇八年に完成する見通しだ。だが、ウラジオストクとカムチャツカの極東地域での同じ施設の建設は目途がたっていない。

 極東にはまだ四十隻もが解体を待っている。モジュールや退役原潜の安全管理は日本海の環境保全と直結しており、日本も協力を余儀なくされているのが実状だ。

 ■核弾頭・ミサイル 求められる大幅削減

 米ソの軍拡競争がピークだった八〇年代、旧ソ連は戦略、非戦略合わせて核弾頭を約四万五千個保有していた。現在は核ミサイルからはずされて貯蔵されている核弾頭を除くと、八千数百個にまで減っている。

 一方、核ミサイルは八七年、米ソが史上初の核兵器廃棄条約「中距離核戦力(INF)全廃条約」に調印。三年以内に両国合わせて地上発射ミサイル二千六百十一基の廃棄に合意した。九四年には第一次戦略兵器削減条約(START―1)の発効で、ロシアはウクライナなど旧ソ連圏に配備していた戦略核ミサイルを撤収し、約五千基まで削減した。

 未発効のSTART―2に替わり、〇三年に発効した戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)により、双方が一二年までに千七百―二千二百個まで核弾頭削減を目指す。

 しかし、条約はミサイルからはずした核弾頭の解体までは義務付けていないため、非核保有国は「不可逆的な廃棄」を強く求めている。また、目標が達成できなくても、一二年以降の延長にいずれかが同意しないと失効する。

 ロシアは三千三百個余りの非戦略核弾頭を有しているとみられるが、非戦略核弾頭を対象にした法的拘束力を持つ国際条約はない。

【写真説明】ウラジオストク近くのズベズダ工場で進む退役原潜の解体作業(ロシア沿海州地方府提供)


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