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■特集 ロシア編 核大国の軍縮
核物質の再処理/国際科学技術センター '04/12/2

 ■核物質の再処理 開発の町に「ごみ」貯蔵

 極東地域に配備された原潜の使用済み核燃料は、シベリア鉄道で七千キロ離れたチェリャビンスク郊外のマヤーク核施設へ運びこまれる。鉄道線の改修は日本が支援した。

 削減した核弾頭から取り出したプルトニウムもこの施設へ輸送し、貯蔵する。平和ミッションの旅をサポートしてくれたロシアの「ノーボスチ通信社」によると、米国の支援で新設された貯蔵庫には二十五トンが保管でき、百年間は管理できるように設計されているという。

 マヤークは四八年に稼働した旧ソ連初の兵器用プルトニウム生産の再処理工場などがある。川への放射性廃棄物のたれ流しや、五七年の高レベル廃棄物貯蔵タンクの爆発によって、周辺約二万三千平方キロが汚染され、約二万人が移住を余儀なくされるなど、「環境汚染」の元凶でもあった。

 そして今、核開発の犠牲になった町は、核軍縮に伴って余った核物質の捨て場にされようとしている。核の「ごみ」受け入れについて、チェリャビンスク州放射線安全局の責任者は「核開発の犠牲になったことを住民は忘れていない。しかし、広島、長崎を繰り返さないためにはやむを得ない」と弱々しく語った。

 ■国際科学技術センター 研究者に職 流出を防ぐ

 核軍縮で仕事にあぶれた研究者の国外流出をどう防ぐか―。核拡散防止にとって極めて大きな課題である。日本はこの分野でもロシアに手を貸している。

 首都モスクワにある国際科学技術センター(ISTC)は九四年、日本や米国の政府間協定に基づいて発足。現在は欧州連合(EU)を含む十三カ国、地域が加盟する。日本は発足後、これまでに六千万ドル(約六十一億円)を提供している。

 ISTCは、かつて軍事目的の研究をしていたロシア国内の各研究所から提出された製品開発計画案などを他国や民間企業に紹介。いいアイデアに対して研究資金を提供してもらう、いわば「お見合い業務」を担う。

 過去十年間で約八百施設、五万八千人の研究者を紹介した。日本は現在、原潜の船体を水流で切る技術の開発や太平洋の海底の地形図製作などに資金提供している。

 ソ連崩壊に伴って、それまで優遇されていた研究者の収入が大幅に減った。「核兵器保有を目指す危険な国にヘッドハンティング(引き抜き)されるとの危機感が募った」と、ISTC担当者は打ち明ける。安定した収入を得ることで「核の闇市場」への誘惑防止を目指している。

【写真説明】民家の敷地内に設置された大気中の放射性物質の量を測る吹き流しのような機器。マヤーク核施設周辺では今も放射線量の測定が続く(チェリャビンスク州ムスリュモボ村)


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