トップページ
 関連記事
 連載
 特集
 賛同者メッセージ
 English
広島国際文化財団
 理事長挨拶
 事業内容
 募集要項
 募金のお願い
中国新聞
 原爆・平和特集
関連リンク
 中国放送
 広島県
 広島市
 広島平和文化センター
 広島平和研究所
 国連大学
 ユニタール広島
■特集 ウクライナ編 核の現状
18年目の「チェルノブイリ」 傷む石棺 浸食進む '05/1/10

 人類史上最悪の原発事故から十八年余。平和ミッション一行が訪れたチェルノブイリ原発はいまだ、極めて危険な状態にあった。

 爆発した4号機を覆う通称「石棺」は、ひび割れから入った雨水で浸食が進む。南側の屋根を支える柱は、年間一ミリ近く傾き続けている。内部に残る放射性物質は「七十四万テラベクレル(二千万キュリー)」といわれる。事故時の大気中への放出量の約四割。屋根が崩落すれば、悪夢を再び引き起こす。

 現在、石棺を覆う「第二の石棺」を建造する計画が進められている。西側二百メートルの空き地に、新石棺を建設。レールでずらして現石棺を覆うというものだ。

 構想では、新石棺は縦百五十メートル、横二百五十メートル、高さ百メートルを超える半円柱形。耐用年数は百年。原発関係者は「現在の石棺を補強して、内部の核物質を抜き取るには十分な期間」と説明する。しかし、核燃料とコンクリートや石が溶け合った二百トンに及ぶ大きな塊を取り除く技術はまだない。

 新石棺の建設と現石棺の補強に十九億ドル(約千九百六十億円)がかかり、日本を含む二十九カ国が資金を提供している。今年中に建設会社を選定。二〇〇六年から建設を始め、一〇年までに完成させるという。

 さらに、事故被災者二百万人の補償は、年間二十億グリブナ(約四百億円)に上る。これだけで国家予算の三十分の一を占めるが、それでも十分な補償はできていない。

 ソ連時代の一九七八年、チェルノブイリの1号機が営業運転を開始した。八六年の事故で5号機、6号機の建設は中断。事故後に運転を再開した1―3号機は二〇〇〇年末までに順次、停止した。

 ウクライナにはチェルノブイリを除き、原発設置地域が四カ所ある。うちフメルニツキとロブノの両原発で昨年、新たに二基が送電を開始。現在国内で計十五基が稼働している。

 核アレルギーはあっても、平和利用を続ける背景には、石油や天然ガスの約70%をロシアに依存している国情がある。国内に配備された核兵器をロシアに移送した際には、かわりにロシアから原発用核燃料として百トンの低濃縮ウランの提供を受けた。

 チェルノブイリの被曝(ひばく)者支援のため、日本の非政府組織の現地派遣員として十年間キエフに住む竹内高明さん(43)はこう指摘する。「エネルギー不足といわれるが、チェルノブイリの原発がすべて停止しても電力不足で困ることはなかった。それでも新たな原発建設を止める意志はみえない」

 今も二カ所で計三基の原発建設が進んでいる。

【写真説明】石棺に覆われた4号機の近くで放射線量を測定するメンバー。今もガンマ線など強い放射線が環境に放出されている


MenuTopBackNextLast