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■特集 インド編 核の現状と展望
開発拠点 住宅街に複合施設 '05/3/16


 ムンバイ市中心部から北へ約五十キロ。トロンベイのバーバ原子力研究センター(BARC)は、住宅街のど真ん中にあった。インド核開発の拠点施設である。

 アラビア海に面した広大な敷地に、実験炉や研究炉がある。核兵器転用の使用済み核燃料の再処理も担うこの複合施設には、約五千人の科学者と一万人の技術者が働いているという。

 出発前にセンター内の視察や研究員との面会を求めたが、結局許可は下りなかった。地元の平和運動家らの協力で、車で入り口まで行ってみた。鉄扉のそばで警備員が目を光らせる。入り口から見えるのは宿舎風の建物だけだ。

 「ここは国家の軍事機密を扱う核施設。外国人が集団でうろうろしては、怪しまれて危険だ」。案内人の配慮で、車に乗ったまま前を行き来して見るだけにした。

 「こんな住宅街にあるなんて信じられない」。市民団体代表の渡部朋子さん(51)は、ため息交じりに言った。

 地元住民に「海に回れば施設が見える」と聞いて、記者とカメラマンはムンバイから仏教遺跡があるエレファンタ島へ渡った。かすむ空の向こうにそびえる煙突。白っぽい原子炉らしい建物も見える。だが、全容を目にすることはできなかった。

 ムンバイ市内で会ったBARCの元科学者プラカッシュ・ブルテさん(59)は「今は私だって施設内には入れない」と、厳しい警戒について言及した。

 ブルテさんは一九七五年から二十二年間、プルトニウムを抽出する作業などに従事した。もともと核兵器開発には反対の立場で、平和利用から軍事利用への意図を明確にする政府の姿勢に嫌気がさし、九八年の核実験の直前に退職を決めた。

 ブルテさんによると、現在国内にはBARCをはじめ、三十以上の核兵器関連施設があるという。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、インドはこれまでに三十―四十個の核弾頭を保有しているとみている。

【写真説明】アラビア海に面して核関連施設が並ぶバーバ原子力研究センター。今もインド核開発の重要な役割を担う(トロンベイ)


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