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■特集 パキスタン編 核の現状と展望
開発 インドへの抑止力 '05/4/11


 パキスタンの大都市を車で移動すると、突然大きな山のモニュメントに遭遇する。一九九八年五月二十八、三十の両日、パキスタンが地下核実験を強行した現場「チャガイ丘陵」の模型だ。首都イスラマバード郊外や、ペシャワル、ラホールなど各州都に、誇らしげに設置されていた。

 実験の翌年に除幕された。そばに立つと、人の背丈の三倍以上はありそうだ。土台の石版には、「パキスタンの核実験成功を記念して設置する」と刻まれていた。パキスタンにとって核保有は「国家の誇り」なのだ。

 パキスタンは、五六年に原子力委員会を設置。平和利用を目的に、米国がイスラマバード郊外の原子力科学技術研究所に実験炉を提供し、六五年に運転を開始した。

 核兵器開発は、カシミール地方の領有権などをめぐってこれまでに三度戦争を繰り返し、今も厳しく対立する「宿敵」インドに向けられる。パキスタンの二倍以上の兵力を有し、通常兵力で勝るインドに対して優位性を確保するには、核兵器を保有し、先制使用も辞さない核抑止力に依存する以外に道はないと考えられているからだ。

 開発が具体化したのは七〇年代。折しも、オランダで濃縮ウラン製造技術を学んだ冶金(やきん)学者のカーン博士が帰国。産業が発達しておらず、足りない部品はドイツなど主に欧州の企業などから買いそろえた。

 そして首都に近いカフタにウラン濃縮施設を完成。原爆製造に必要なウラン235の取り出しに成功し、原爆製造計画が本格的に始まった。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)などは、核弾頭三十―五十個を保有しているとみている。


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