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■特集 米国編 NPT再検討会議
厚い壁 「新たな脅威に対応」 米国高官、軍縮へ消極的 '05/5/24

 平和ミッション一行は、NPT再検討会議開催に先立ち首都ワシントンで、同会議担当の米国務省不拡散局・多国間核問題室室長代行のリンダ・ガリーニさん(58)に会い、核軍縮への努力を要請した。が、返ってきた答えは核不拡散への取り組みばかり。その姿勢はそのまま会議に反映され、紛糾の大きな要因になっている。

 「再検討会議の最優先課題は、NPTを意図的に違反する国やテロ組織のような非国家主体への対応だ」。米政府で働いた二十八年余の大半を核不拡散問題と取り組んできた高官はこう切り出した。

 核軍縮と核不拡散はNPTの両輪である。二〇〇〇年の再検討会議で合意した核兵器廃絶への「明確な約束」、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効など最終文書に盛り込まれた十三項目の核軍縮措置への対応を尋ねると、ガリーニさんはこう答えた。

 「過去五年間で世界は大きく変わり、十三項目の一部は時代にそぐわなくなった。新たな脅威への対応が求められる」

 大きな変化とは北朝鮮やイランの核開発問題である。「条約違反はNPT体制を覆し、世界の安全保障を脆弱(ぜいじゃく)化させる」と指摘。核技術を取引するパキスタンの「核の闇市場」、テロ組織による核兵器や核物質入手なども新たな脅威とみる。

 その防止のために国際原子力機関(IAEA)による査察強化や、核物質の輸出入管理体制の確立などが「再検討会議の課題だ」と強調した。

 メンバーはその対策の一方で、米政府の核軍縮への努力不足が「核拡散の一因になっている」と主張。核削減やCTBTへの批准を求めた。

 ガリーニさんは「米国は段階的に核兵器を減らしている」と述べ、再検討会議では米ロの戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)などに基づく核軍縮措置について、参加国にアピールしていくという。

    ◇

 実際、米政府は同会議で、ガリーニさんがメンバーに説明した通りの主張を繰り返した。彼女に被爆体験を語り、「広島・長崎の悲劇を胸に働いてください」と訴えた村上啓子さんは、終盤を迎えた会議の様子を伝える国連本部からのニュースに「米政府の壁はやはり厚い。でも、これからもアメリカの人々に直接語りかけていきたい」と話していた。

【写真説明】ガリーニさん(左端)に原爆被害の実態を伝える写真などを記録したCDロムを贈るメンバーの右からコラックさん、村上さん、前岡さん、木村さん


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