トップページ
 関連記事
 連載
 特集
 賛同者メッセージ
 English
広島国際文化財団
 理事長挨拶
 事業内容
 募集要項
 募金のお願い
中国新聞
 原爆・平和特集
関連リンク
 中国放送
 広島県
 広島市
 広島平和文化センター
 広島平和研究所
 国連大学
 ユニタール広島
■特集 米国編 核戦略の現状と展望
「グローバル・セキュリティー」ジョン・パイク代表に聞く '05/5/30

 ■攻撃対象に7ヵ国明示

 「どの筋を通して手に入れたかって? そりゃあ、ファクスを通してに決まってるだろう」。首都ワシントンの反核市民団体「グローバル・セキュリティー」のジョン・パイク代表(51)は、ビル地階にある小さな事務所内に、豪快に笑い声を響かせた。

 二〇〇二年三月、全文で五十六ページあるといわれる「核態勢の見直し(NPR)」文書の大部分を、ホームページ上で公開。世界が米戦略の大幅な転換に驚いた。ラムズフェルド国防長官は、国家機密を漏らした「米連邦刑法違反だ」として激怒したという。

 「NPRはこれまで表ざたに言ってこなかった米国の本音を率直に表した内容だった」と分析する。例えばNPRは、イラン、北朝鮮など七カ国に対して核兵器を使用する非常事態計画を準備するとしている。だが、それは米国が九五年に非核保有国を核攻撃しないと表明した「消極的安全保障」の考えを覆すものだ。

 「でも、消極的安全保障など誰も信じていなかっただろう」とパイクさん。事実、イラク戦に参加した空母には、爆発威力が調節できる水爆が搭載されていた、という。「毒ガス兵器で米国兵士が死ねば使っていたさ」

 メンバーの一人が「他の民間研究所の研究員によれば、地中貫通型核兵器などにテロを抑止する効果があるとする声もあったが…」と尋ねた。パイクさんは「そいつは大学の学費を無駄にしたな」と冗談を飛ばして続けた。

 「テロリストの居場所が分かれば、米国の強大な通常兵力でやっつけられる。しかし居場所が分からず、命を惜しまない人間を押し止めるのに、核兵器は役に立たない」

 パイクさんはケンタッキー州生まれ。六二年、九歳でキューバ・ミサイル危機を体験。妹と自宅の地下室に隠れて以来、核の脅威に目覚め、やがてその脅威と向き合う活動を続けるようになった。五年前にグローバル・セキュリティーを設立。メンバーは十一人と学生十人足らず。寄付金は受けず、ホームページ上に広告掲載を募って得た収入で運営する。

 「一匹おおかみ」として知られる。トレードマークの黒シャツは、世界の戦争犠牲者への喪服だ。

 「日本は陶芸技術などの文化を国宝として守っているだろう? 米国は膨大な金と時間を核兵器開発に費やした。いわば、核兵器が国宝なんだ」。パイクさんは悲しいユーモアを自国に浴びせた後、真顔で結んだ。

 「何千個もの核弾頭を抱えてないと安心して眠れない。そんな核兵器国や保有を目指す国の指導者の考え方を変えるのが私たちの役目だ」

【写真説明】「世界の覇権を握り、望み通りになんでもできると思っている」と米国のおごりを指摘するパイクさん


MenuTopBackNextLast