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韓国政府機関 在韓被爆二世を調査へ '04/7/27

 正確な人数を把握へ 来月から初実施

 韓国で初めての被爆二世の実態調査が、八月から始まる。韓国の政府機関である国家人権委員会が、平和や医療分野など複数の非政府組織(NGO)の要請を受けて実施を決めた。来日している韓国被爆二世の会の李承徳会長が二十六日、東京都内で記者会見し、明らかにした。

 李会長によると、韓国政府が三千万ウオン(約三百万円)を予算化し、NGOに調査を委託する。計画では、韓国の被爆者団体の協力を得て、二世の人数を把握。郵送や面談などで健康問題や生活状況を質問する。すでに二世の健康診断を実施している日本の現状や基礎資料ついては、全国被爆二世団体連絡協議会や広島、長崎両市から情報収集する。調査期間は五カ月間を予定している。

 韓国では、被爆二世の問題がほとんど認識されておらず、人数などのデータはほとんどないのが現状。NGO関係者が病弱な被爆二世の存在を知ったことをきっかけに、昨年八月、人権問題について勧告などの救済措置をしている国家人権委員会に対し、実態調査を要請していた。

 初めての実態調査について李会長は「韓国で二世問題を知ってもらう絶好の機会になるはず」と評価する。ただ、予算が十分とは言えず「どこまで正確に実態をつかめるか疑問な面もある。必要なら継続調査も検討してほしい。韓国政府が援護に乗り出してくれれば」と話している。

 日韓被爆二世が厚労省に要請書 援護法適用求める

 全国被爆二世団体連絡協議会(平野伸人会長)と、韓国被爆二世の会(李承徳会長)は二十六日、厚生労働省に対し、被爆者援護法の適用などを求める要請書を提出した。韓国の二世団体が、日本政府に要請するのは初めて。

 来日中の李会長ら韓国の五人を含む約三十人が厚労省健康局を訪ねた。要請文では、被爆の遺伝的影響による健康不安を抱える二世の実態を訴え、援護法の適用や海外での健康診断の実施を求めている。

 李会長は「厚労省に韓国の二世の存在を認識させただけでも意義があると思う。今後も両国の二世団体で協力していきたい」と話していた。

【写真説明】韓国で実施することが決まった被爆二世の実態調査について会見で説明する李会長


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