関連ニュース
栗原貞子さん「全詩篇」刊行へ '04/7/27

 未発表含む492編 友人ら編集作業

 原爆詩「生ましめんかな」など反核平和を訴える作品で知られる詩人栗原貞子さん(91)=広島市安佐南区=の全作品を可能な限り網羅した「人類が滅びぬ前に 栗原貞子全詩篇」が近く出版される。八月中の刊行を目指し、友人たちが編集作業を進めている。

 A5判、約五百ページ。これまで詩集で発表した作品など四百九十二編を掲載する。このうち約二百編は、新聞や雑誌で発表した後にそのまま埋もれてしまった作品や、ノートに記されていた未発表作品。時系列に掲載し、戦前からの創作活動の全体像を浮き彫りにする。

 収録作品には、一九三〇年六月二十三日付の中国新聞に掲載された「べにさうび」もある。「あゝ誰だ/丘の白い墓に/べにさうびを捧げたのは」と始まる十三行の叙情詩で、最も若いころの作品とみられている。

 栗原さんは被爆体験を基に、戦後一貫して反核平和をモチーフした作品を世に問い、平和運動でも積極的に携わってきたが、最近は脳梗塞(こうそく)を患い、活動の一線からは退いている。

 二〇〇二年秋、病床を見舞った友人の伊藤成彦中央大名誉教授(72)=社会思想史=が全作品を一冊に集成するよう提案したのがきっかけ。伊藤さんは「戦争、核、政治など、具体的かつ大きなテーマを一貫して書き続けてきたユニークな女性詩人。もっと広く知られてもいい人だ」と思いを語る。

 伊藤さん自らが編者となり、広島在住の友人らも加わって「刊行をすすめる会」(三十五人)を結成。世話人の広島文学資料保全の会代表幹事の古浦千穂子さん(73)や広島市の詩人伊藤眞理子さん(65)は、家族から借りた四冊のノートから作品を掘り起こしたり、図書館などに通って昔の新聞・雑誌から栗原さんの作品を探したりした。

 古浦さんらは「全作品を読み直し、栗原さんの平和への一貫した強い思いをあらためて感じた」と語る。

 土曜美術社出版販売刊。六百部印刷し、一部六千円。購入方法などの問い合わせは「刊行をすすめる会」事務局TEL082(291)7615。

【写真説明】未発表作品を掘り起こした栗原さんの4冊の創作ノート


MenuTopBackNextLast

ホーム