来年完成 画面覆う閃光や炎
原爆の爆心直下で消滅した旧広島市細工町(現中区大手町一丁目)の町並みなどをコンピューターグラフィックス(CG)で再現する「ヒロシマ・グラウンド・ゼロ」プロジェクトは二十六日、原爆が爆発した瞬間や、炎が一帯をのみ込む場面のCG映像(絵コンテ)を公開した。来年の作品完成を目指す。
十三秒間の映像は、細工町のすぐ北側に広がる旧猿楽町の上空約三十メートルから、広島県産業奨励館(現在の原爆ドーム)を眺めるカット。原爆が炸裂(さくれつ)すると、黄色がかった白い閃光(せんこう)が町並みを覆い、画面はいったん真っ白に。次の瞬間、地面から立ち上る真っ赤な火炎と黒い煙が画面いっぱいに映し出される。
プロジェクトメンバーの広島市立大芸術学部の中島健明教授(54)が、「マグネシウムを熱したような強く白い光」「七色に輝いた」などの被爆者の証言や核実験の映像を参考に作成した。
プロジェクトは中区の映像会社社長田辺雅章さん(66)を中心に大学の研究者らで構成。今回のCGを基に、爆心直下の島病院や寺院、郵便局が破壊されていくシーンなどを六十分の映像作品にまとめる。田辺さんは「爆心地が消える瞬間の映像再生は、史上初の試みだと思う。地元住民たちとも意見交換し、さらに精度を高めたい」と話していた。
【写真説明】原爆が爆発した瞬間を再現したCGを見るメンバーら。画面に映る奥の建物が旧広島県産業奨励館
    
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