同世代 命の尊さ痛感
夏休みに入り、大勢の人たちが訪れる原爆資料館(広島市中区)の東館地下展示室で、十六日から開かれている企画展「動員学徒―失われた子どもたちの明日」。同世代の被爆体験を目の当たりにした若者たちは、平和の尊さを心に刻んだ。
見ていてつらい・子ども犠牲信じられない
「原爆の悲惨さがよく分かった。見ていてつらい」。初めて広島に来た小学六年大川晃平君(11)=愛知県西春町=がつぶやいた。焼け焦げた弁当、名札が溶けたブラウス…。遺品が原爆の脅威を物語る。母親の晶子さん(40)は「今は、テレビゲームの中で簡単に人を殺す時代。目に焼きつけ、命の重みを感じてほしい」。
原爆投下の当日、広島では約二万六千八百人の学徒が建物疎開作業などに動員され、うち約七千二百人が亡くなったという。企画展では、遺品や作業中の写真、日誌など計百八十九点が並ぶ。
「今日は大へん良い日でした」。原爆投下の前日、当時十二歳の少女がつづった日記の一節だ。「恋とか夢とか、人生これからって時に…。自分がいかに幸せか痛感する」と大阪市の高校一年種谷沙織さん(15)。カナダに生まれ育った中学一年柿木直也君(13)は「同年代の子どもが働かされ、犠牲になったなんて信じられない。帰ったら友達に教えたい」
友人を連れて広島に帰省した専門学校生横林智美さん(19)=所沢市=は「決して人ごとじゃない。将来、自分の子どもにも戦争の愚かさを伝えていきます」と力を込めた。
【写真説明】真剣な表情で動員学徒の遺品に見入る子どもたち(原爆資料館)
    
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