広島市が、中区の平和記念公園一帯の保存・整備の在り方を検討するため新設した「平和記念施設あり方懇談会」広島会議(座長・福井治弘広島平和研究所長)の初会合が二十七日、市役所であった。大学教授や被爆者団体の代表ら六人と秋葉忠利市長が、世界遺産の原爆ドームの保存方法について意見を交わした。
市側は、市民たちのアンケート結果を基にドーム保存の方策として、@可能な限り被爆当時の姿を残す必要最小限の補修A酸性雨や紫外線を防ぐ屋根の設置と耐震強化―の二案を例示。秋葉市長は「自然のまま朽ち果てるのを待つ案もあり得る。保存の経緯を百年後の人にも説明できるよう、確かな提案をしてほしい」と求めた。
戦争と被爆の「負の遺産」として世界に知られることや、過去三度の修復工事などでドームが被爆当時の原型を完全にはとどめていない現状も踏まえ、委員からは「今の姿をできる限り残したい」とする声が大半を占めた。ドームの前身である広島県産業奨励館の被爆前の姿を別の場所に復元しようとの提案もあった。
市は二十九日、東京都千代田区の霞が関ビル内にある校友会館で「東京会議」をスタートさせる。両会議とも来年六月までに計四回開き、老朽化が進む原爆資料館の整備、平和記念公園の活用策なども含めて意見を集約。市はこれを基に来年八月末までに保存・整備方針を固める。
【写真説明】原爆ドームの保存について意見を交わす懇談会メンバー
    
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