韓国への支援参考に
坂口力厚生労働相は二十七日の閣議後会見で、北朝鮮に住み、国交がないため医療面などの支援が行き届いていない被爆者について「国の格差をつくらず、同じように扱っていきたい」と述べ、支援実現を目指す意向を明らかにした。
在外被爆者支援をめぐっては、病気や高齢などの理由で来日できない被爆者のため、本年度から韓国に日本人医師を派遣して健康診断を実施。十月からは各国の赤十字社などを通じて、現地の医療機関に受診した医療費の助成もスタートする。
坂口厚労相は北朝鮮の被爆者支援の具体的方法として「(韓国方式も)一つのやり方ではないか。外務省とよく相談したい」と述べた。
拉致被害者曽我ひとみさん一家の帰国が実現するなど、日朝間の外交チャンネルがある中、在外被爆者問題で唯一残された課題だった北朝鮮での支援を前進させたい考えがあるとみられる。
厚労省によると、北朝鮮在住の被爆者は千人前後。ほかの国に住む被爆者同様、来日して健康診断や治療などを受ける道はあるが、国交がないため多くは来日できず支援を受けていない。
期待感が出てきた
在日本朝鮮人被爆者連絡協議会の李実根会長の話 現地の赤十字社を通じての被爆者支援は、私が何年も国に求めてきた。ようやくやる気になってくれたかなという気持ち。期待感が出てきた。小泉純一郎首相の日朝国交正常化に向けた姿勢が反映されたのではないか。四月の列車事故の被害者支援で八月に訪朝するが、向こうの被爆者団体にも、このことを伝えたい。
    
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