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滅びない人間愛訴え「原爆の母」 大朝で浪曲劇 '04/7/28

 広島市内の主婦らでつくる美鈴舞踊劇団が二十八日、浪曲劇「原爆の母」を大朝町の田原温泉で披露する。十五年前の初演から毎年、県内各地で公演。団員には被爆者もおり、平和の大切さを訴えようと練習に力が入っている。

 原爆ドームが描かれ、廃虚の街並みが広がる背景画。被爆して顔をやけどした母に、捜し続けていた一人息子が出会う。しっかりと手を握り、お互いの名を呼び合う。

 浪曲のテープが流れ、浪曲師のせりふに合わせて口を動かす。「いかなる原爆をもってしても、滅びることのない人間愛に生きるんだ」

 安佐北区の亀山集会所。家事を終えた団員たちの迫真の演技が続く。五月から週三回、練習を重ねてきた。

 劇は、夫が出兵して留守を預かっていた妻は原爆で顔にひどいやけどを負い、しゅうとめに追い出されて里帰り。顔立ちが変わった母を、一人息子が捜す内容だ。

 劇団は約二十五年前に結成した。浪曲「原爆の母」を作った福山市の作詞家、故飯山栄浄さんの経営する芸能プロダクションに入った団長の樋高美知子さん(68)が感動。「広島の劇団として演じたい」と公演を始めた。

 団員二十五人のうち六人が出演。夫役の南区段原日出町の主婦玉井美佐子さん(70)は登校中に被爆した。「家族を引き裂き、心身に傷を負わせる原爆や戦争の愚かさを伝えたい」と力を込める。

 樋高団長は「平和が続くように願いを込めて演じている。親子でぜひ見に来てほしい」と話している。

【写真説明】原爆ドームの背景画を前に、本番に向けて練習に励む美鈴舞踊劇団の団員たち


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