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似島発掘遺品を公開 原爆資料館が65点 '04/7/30

 広島市南区の似島で見つかった原爆死没者の遺品六十五点の公開展示が二十九日、中区の原爆資料館東館一階ロビーで始まった。五十九年前の原爆投下直後、傷ついて島に運ばれたかもしれない…。そんな肉親の手掛かりを求め、遺族たちが訪れた。

 西区鈴が峰、会社員山岡鉄次郎さん(63)は、父親が水主町(現・中区加古町)で被爆し、行方不明のまま。ガラスケースに顔を近づけ、遺品を一点ずつ確かめるように見て回った。

 父が似島に運ばれた確証はない。「もしかすると」との、かすかな期待は外れた。今回の調査で推定八十五体の遺骨が出たことについては「五十九年も埋められたままで…。もっと早うしてあげれば」と視線を落とした。

 南区の男性(71)は、バックルを真剣に見つめた。県立広島工業学校(現・県立広島工高)一年だったいとこが、水主町付近で建物疎開作業中に被爆したという。いとこのバックルには模様があったと記憶しているが、展示品は無地。事前に市に問い合わせて分かっていたが、「これでやっと納得できる」。

 この日、会場を訪れた遺族は七人。ほとんどが、肉親が似島に運ばれたかどうかも分からず、遺品から手掛かりを得ることはできなかった。

 会場には、遺品が確認された発掘現場の地図や島の全体図なども併せて展示している。八月十一日まで。無料。

【写真説明】似島で発掘された原爆死没者の遺品を見つめる山岡さん ※山岡鉄次郎


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