米の「一国主義」批判/次世代へ体験継承
原水禁国民会議系と日本原水協系の二つの原水爆禁止世界大会が八月一日から九日まで、東京都と広島、長崎両市で開かれる。米国の核政策や、戦争後も混迷するイラクへの対応、憲法改正の機運が広がる国内の政治情勢などを議論し、来年の被爆六十周年に向けた平和運動の進め方を提示する。
《米国への対応》
米国が戦争の「大義」とした大量破壊兵器が発見されず、テロ続発で泥沼化するイラク情勢。原水禁、原水協とも「一国主義」を強める米国の責任を追及する。小型核兵器開発を解禁し、地下核実験再開をにらむブッシュ政権についても厳しい批判を展開する。
原水禁は、米国の核問題研究者や平和運動家を招き、核兵器をめぐる世界情勢や米国の平和運動について討論。原水協も劣化ウラン弾などによるイラクの戦争被害の実態を報告するとともに、復興支援のあり方も意見交換する。
《日本の役割》
国内では、政府がイラクに自衛隊を派遣し、多国籍軍への参加を決定。自民、民主両党を中心に憲法改正論議も盛り上がる。こうした政界の状況に対し、原水禁は「被爆国の責務を自覚していない」、原水協は「核兵器廃絶に背を向ける行為」と危機感を強める。
両大会では、政府に「米国追随」の外交姿勢の転換を求めるほか、憲法九条の意義を再確認し、改正反対の世論拡大に向けた原水禁運動の役割を話し合う。
《被爆六十周年に向けて》
来年は被爆六十周年に加え、第一回原水爆禁止世界大会から五十年という節目を迎える。両団体とも今大会を、来年に向け反核運動を拡大させる出発点と位置付け、原爆症認定集団訴訟で係争中の被爆者への支援や、若い世代への被爆体験の継承に重点を置く。
さらに来春、国連本部である核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶に向けた成果が得られるよう、国内外の平和運動との連携強化を図る。
<原水爆禁止世界大会の主な日程> |
| 原水禁国民会議系 | 日本原水協系 |
1日 | 国際会議(東京都) | |
2日 | | 国際会議開会(広島市) |
3日 | | 国際会議分科会など |
4日 | 広島大会開会 | 国際会議閉会・広島大会開会 |
5日 | 広島大会分科会など | 広島大会分科会など |
6日 | 広島大会まとめ集会 | 広島大会閉会 |
7日 | 長崎大会開会 | |
8日 | 長崎大会分科会など | 長崎大会交流集会 |
9日 | 長崎大会閉会 | 長崎大会全体総会 |
    
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