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エノラ・ゲイ公開の是非をめぐる 広島平和研シンポ '04/8/1

 広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイが米スミソニアン航空宇宙博物館で公開されていることの是非をめぐる国際シンポジウム「エノラ・ゲイの閃光(せんこう)―戦争と破壊の象徴」が三十一日、広島市中区の広島国際会議場であった。市立大広島平和研究所が主催し、国内外の学者五人の討論を約二百人が聞いた。

 米ニューヨーク州立大のローレンス・ウィットナー教授は「(ユダヤ人の大量虐殺に使われた)ドイツのガス室を展示しているようなものだ」と爆撃機の展示自体を批判。オーストラリア・メルボルン大のトニー・コーディー教授も「原爆は大量破壊兵器を使用したテロ行為」と断じた。

 米ノースウエスタン大のローラ・ハイン教授は、原爆被害の説明が添えられていない展示の実態を嘆きつつ、「観覧者は論点の不在を感じ取り、繰り返し問題にするだろう」と米国内での論争に期待した。

 東京大大学院の川本隆史教授は「日米で異なる考えの合意部分を探り出し、積み重ねていくことが大切」と強調。平和研の田中利幸教授は「加害者が被害者の記憶を追体験し、共有することが欠かせない」と述べ、原爆資料館(中区)が記憶共有の場になりうるとした。

 会場からも、被爆者が「原爆を投下した米国を国際的な司法の場で裁くべきだ」と主張すれば、旧日本軍の捕虜になったという元米兵が「原爆投下は、死刑が決まっていた多くの米兵の命を救った」と反論するなど、さまざまな意見が出た。

【写真説明】エノラ・ゲイの展示問題と絡め、原爆投下の歴史認識をめぐって意見交換したシンポジウム


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