核兵器廃絶の世論形成を目指す国際平和シンポジウム「再び築こう核廃絶の流れを」が一日、広島市中区の広島国際会議場であった。市や広島平和文化センターなどが主催し、約四百人がパネルディスカッションを聞いた。
東京大の藤原帰一教授は、米スミソニアン航空宇宙博物館で公開中の原爆投下機エノラ・ゲイを引き合いに出し、「原爆をめぐる日米の記憶に違いがある。国境を取り払って戦争を見つめる視点が要る」と指摘。米国の軍縮・平和教育家キャサリン・サリバンさんは来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議について「広島市などが提唱している核兵器廃絶キャンペーンを土台にして協議すべきだ」と注文した。
広島大平和科学研究センターの篠田英朗助手は、テロリストがヒロシマを反米主義の象徴とする声があることに不快感を示し、「ヒロシマは人道主義の砦(とりで)であることを貫かねばならない」と強調。ジャーナリストの筑紫哲也氏は「ヒロシマを、人類が二度と繰り返してはならない記憶として継いでいくことが大切」と締めくくった。
    
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