内谷さん、現場に献花
広島市の調査で八十五体の原爆死没者の遺骨が見つかった南区の似島で二日、各宗派でつくる広島戦災供養会(中谷ミサ子会長)が主催する慰霊式があった。発掘現場に秋葉忠利市長や遺族たち約七十人が集まり、犠牲者の冥福を祈った。
式は仏式で営まれ、秋葉市長は「この地で亡くなった人々の心情を思うと万感胸に迫る。あらためて謙虚に過去を振り返り、積極的に戦争の悲惨さと平和の尊さを長く後世に語り継ぐことを誓う」と追悼の辞を述べた。読経に続き、参列者が焼香した。
七月二十六日に、当時十四歳だった妹の名札が見つかった安芸区の農業内谷司さん(77)も妻ミスエさん(76)と参列し、「五十九年目の命日を前に、妹の声が聞こえたような気がする」と沈痛な面持ち。名札が見つかった場所を関係者から聞いて花と水を手向け、既に土を埋め戻している現場に向けて「セツコ」と妹の名を呼んでいた。
市はこの日、遺骨が入ったひつぎを車に乗せ、フェリーも使って東区の永安館に運んだ。三日に火葬がすべて終われば、その日のうちに中区の平和記念公園にある原爆供養塔に納める。
【写真説明】発掘された遺骨の慰霊式に参列した内谷さん夫妻(前列左)や秋葉市長(同右から2人目)たち
    
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