救護の様子生々しく 生存者の聞き書きも
庄原市の山内地区原爆被害者の会は二日、被爆体験記「葛城(かつらぎ)」の完結編となる第三号を発刊した。広島市への原爆投下直後、被爆者を救護した地域史を十七人の証言で記録し、核兵器廃絶と恒久平和の確立を訴えている。
被爆者の臨時病棟となった山内西国民学校(現山内小)で救護に当たった女性四人は「体がはれ、声を聞くまで男女の区別が分からない」などと当時の状況を生々しく証言。被爆者を広島市から芸備線の山ノ内駅まで搬送した列車の車掌は「被爆者は無造作に箱詰めの状態」と記している。
病棟に収容され、命を取り留めた百八十六人のうち新たに確認できた生存者の聞き書きや、米軍が一九四七年に撮影した地域の航空写真なども盛り込んだ。
二〇〇一年秋に発足した同会は毎夏、病棟の様子や生存者の証言などをまとめて葛城を発行。加藤照明会長(78)は「三冊がそろい、地域と原爆のかかわりをほぼ網羅できた。悲惨な原爆の実相を後世に伝えたい」と話している。
A5判五十六ページ。二千部作製。無料。山内公民館TEL0824(74)0451。
【写真説明】山内地区原爆被害者の会が発刊した「葛城」第3号
    
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