■厚労相 「司法の判断必要」
広島市の平和記念式典に参列した坂口力厚生労働相は六日、終了後に中区のホテルであった「被爆者代表から要望を聞く会」に政府代表として出席した。被爆者七団体側は、在外被爆者の援護拡充や原爆症認定基準の緩和などを求めたほか、改憲への動きや自衛隊の海外派遣など政治の動向に対する懸念も相次いで訴えた。
広島被爆者団体連絡会議の末宗明登事務局長は、国の原爆症の認定基準を「厳しすぎる」とし、「認定を求める各地の集団訴訟について、国は争わず原告を原爆症と認めてほしい」と求めた。広島県朝鮮人被爆者協議会の李実根会長は「(厚労相が)北朝鮮在住の被爆者支援を表明したのは一歩前進」としたうえで具体策をただした。
坂口厚労相は、原爆症の認定基準については「被爆と疾病との因果関係を明確にするためにも司法の判断は必要」と判決を待つ考えを示した。北朝鮮在住の被爆者問題では「韓国と同様に、個々の被爆者を支援する方法を考えたい」と答えたものの、国交がない現状もあり具体的な支援策には踏み込まなかった。
広島県被団協の坪井直理事長は「核武装に積極的な国会議員もいると聞く」と憂慮の念を表明。もう一つの県被団協の金子一士理事長も「非核三原則」をめぐる政府の見解をただした。
これに対し坂口厚労相は「(国会議員が)多様な考えを持っているのは事実だが、歴代内閣は非核三原則を堅持している。今後も守っていく」と明言。
自衛隊のイラク撤退を求める声に対しては、「戦争に行っているわけではない。人道・復興支援に対し現地の評価は高い」と述べた。
【写真説明】坂口厚労相(左手前から2人目)に、在外被爆者の援護措置拡充などを要望する被爆者団体代表たち(右列)
    
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