坂口力厚生労働相は六日、広島市中区のホテルで記者会見し、原爆投下直後の広島で降った「黒い雨」の指定地域拡大について、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を基準に被爆地域を広げた「長崎方式」で検討する考えを示した。
長崎では二〇〇二年、国が「精神的要因に基づく健康影響」を認め、「第二種健康診断特例区域」の扱いで地域拡大している。会見で坂口厚労相は「広島でも調査した結果、PTSDが認められていると聞く」とし、「長崎と同様に専門委員会で調査結果を検討し、結論を出すことになるのではないか」と述べた。
「厳しすぎる」との指摘もある国の原爆症認定基準をめぐっては、「個々の被爆者が置かれた環境や生活実態など他の要素を取り入れ、もう少し分かりやすくならないか」と再検討に含みを持たせた。
来年の被爆六十周年に向けては、「被爆体験を風化させないことが重要」との認識を示した。
【写真説明】記者会見で「黒い雨」指定地域拡大を検討する意向を示した坂口厚労相
    
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