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被爆体験集「ピカに灼かれて」最後の刊行 '05/7/26

 ▽第28集 老い進み、編集厳しく

 広島医療生協原爆被害者の会(丸屋博会長)は、被爆体験集「ピカに灼(や)かれて」の最終号となる第二十八集を刊行した。編集する被爆者が七十〜八十歳代となり、健康や体力面の不安を抱えて原稿集めや体験の聞き取りが困難になってきたことから、被爆六十年を機に打ち切りを決めた。

 最終号は例年と同様にA5判とし、計百四十八ページに四人の被爆体験記や七人の体験聞き書きを掲載。終刊にあたって会員の座談会などの特集コーナーも設け、故佐々木禎子さんと病院で同室だった東京都西東京市の大倉記代さんらが特別寄稿している。例年より二割増の千二百部を印刷した。

 同原爆被害者の会は、一九七四年に被爆者や家族たちで発足。「ピカに灼かれて」は被爆体験を広く伝えようと、広島共立病院(広島市安佐南区)が開院した七七年に創刊し、八三年の六集から毎夏に発行してきた。体験記を寄せたのは延べ四百五十人に達し、原水爆禁止運動や被爆者援護法、原爆症認定訴訟など被爆者を取り巻く時事問題も取り上げてきた。

 当初は毎号二十〜三十人いた寄稿者は九〇年代になって徐々に減少。ピークには五百人余りいた会員数も百七十人に。丸屋会長は「被爆者の老いが進み、体験を残すことも、編集作業も厳しくなってきた。被爆六十年を節目に幕を引くことにした」と名残を惜しむ。会そのものは活動を続ける。八百円。同原爆被害者の会事務局TEL082(879)6672。

【写真説明】最終号(手前)を発行し、バックナンバーを手に思い出を語る被害者の会メンバー


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