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核禁止条約の締結提言 パグウォッシュ会議閉幕 '05/7/28

 ▽広島宣言を発表

 科学者が被爆地広島で討議を重ねたパグウォッシュ会議の年次総会は二十七日、広島市中区の広島国際会議場で、核兵器廃絶を訴える広島宣言「ヒロシマ・ナガサキから60年」を発表し、五日間の会期を終えて閉幕した。

 今回で五十五回を数える年次総会で宣言を出したのは、一九八八年の旧ソ連、九五年の広島に次いで三回目と極めて異例。核兵器廃絶の「原点」被爆地での論議を踏まえ、核兵器禁止条約の締結など廃絶に向けた方策を幅広く提言し、国際社会にアピールしている。

 同会議の運営に当たるパグウォッシュ評議会名での広島宣言は、閉会式で同会議事務局長代理の米国人ジェフリー・ブートウェル博士が読み上げ、拍手で承認された。

 「過去十年間で核兵器保有国は増え、核軍縮の成果もほとんど見られない」と前回の広島開催以来の核情勢への危機感を表明したうえで、「安全を増進する最善の手段」としての核兵器禁止条約の締結を提起した。

 さらに、同会議発足の契機となった五十年前のラッセル・アインシュタイン宣言を引用し、「広島、長崎で起きたことは、断じて繰り返されてはならない」と結んでいる。

 閉会式に先立つ最終の全体会議では、スワミナサン会長が討議を踏まえて講演。核兵器廃絶の実現へ向け、本年度中に核兵器の先制不使用の法整備を核兵器国に義務付ける▽核兵器禁止条約の早期実現と二〇二五年までの核兵器全廃▽核燃料を軍事目的に転用させない共通の規範づくり―などを提案した。

広島宣言骨子
●核兵器が今なお国際社会に脅威をもたらしている事実を直視しなければならない

●あらゆる国が包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准し、核兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約を締結するよう訴える

●核兵器禁止条約の締結こそが、安全を増進する最善の手段である

●テロリストの手に渡らないよう、過剰に蓄積された核分裂性物質を管理、処分しなければならない

●ラッセル・アインシュタイン宣言の精神にのっとって行動しない限り、核による破滅を避けることはできない

●広島と長崎で起きたことは、断じて繰り返されてはならない


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