中国新聞社
'13/8/7
被爆証言の映像化開始 広島の学生有志、悲劇の風化防ぐ

 広島県内の大学生と高校生の有志20人はこの日、被爆者の証言を映像に記録する活動を始めた。「悲しみや苦しみの記憶を100年後も追体験できるように」と、リーダーの広島大3年福岡奈織(なお)さん(20)=広島市安芸区。将来、被爆者が証言できなくなったら、原爆の日に上映する。

 中区のアステールプラザであった初収録には、県被団協の坪井直理事長(88)=西区=を招き、約80人が証言を聞いた。坪井さんは広島工業専門学校(現広島大工学部)へ登校中、爆心地から約1・2キロの富士見町(中区)で被爆。大やけどを負い「石で地面に、坪井はここに死す、と書いた」と涙ながらに話した。

 福岡さんは高校時代からNPO法人ANT―Hiroshima(中区)の平和活動を手伝っている。6月に中区であった漫画「はだしのゲン」の連載開始40周年イベントの中心メンバーでもある。

 祖父大重基幸さん(1972年に41歳で死去)は生前、被爆体験を語らなかった。福岡さんは「無理もない。だからこそ、悲しみを乗り越えて語る姿は尊い」と話す。

 宮城と東京でこの日に同様の取り組みがあることを知り、7月から知人と急ピッチで準備を進めてきた。撮影の頻度は今後決める。坪井さんは「被爆者にとって、願ってもない取り組み。できる限り協力したい」とエールを送っている。(門脇正樹)

【写真説明】証言する坪井さん(左端)にビデオカメラを向けて聞き入る福岡さん(前列右から2人目)たち(撮影・安部慶彦)



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