広島、長崎で被爆したろうあ者の証言集を基にした手話朗読劇「目で聴いた、あの夏」が6日、横浜市内の劇場で上演された。音のない中、原爆の惨状に見舞われた苦悩や悲しみを、耳の聞こえない俳優たちが全身で表現。2回の公演で約360人が観劇した。
劇には、女性4人の体験を盛り込んだ。広島の女性のシーンでは、青白い光に突然覆われ、自宅の壁が頭上に落ちてきた様子を朗読。炎が迫り「真っ黒の死体がある中を逃げた」などの一節を悲しみの表情で描写した。
高齢化し、亡くなる証言者も増える中、芝居を通じて体験を語り継ごうと、俳優大橋ひろえさん(42)=東京都=たちが企画した。
出演者の一人で、東広島市出身の金子真美さん(44)=横浜市=は、小学生時代に長崎市で暮らした経験もある。「絶対に忘れてはいけない出来事。いつか広島、長崎でも演じたい」と力を込めた。(山本和明)
【写真説明】ろうあ者の被爆体験を基に披露した手話朗読劇




