第五陣メンバー五人が今年一月下旬から約二週間訪ねたインド。その都市の一つ、中部ワルダはガンジーが非暴力・不服従運動を実践した地だ。ここで出会った大学院生のスンダラム・クマールさん(24)は、第五陣帰国後も、地域で原爆被害の実態を伝え、核兵器廃絶を呼び掛ける活動を続けている。
「私は組織も何もないただの学生。だからいろんな組織や団体の活動に便乗して話をしています」。小学校や福祉・人権擁護団体、自らが通う大学―。数え切れないほどの場で、平和ミッションを報じた新聞記事や、第五陣が持参した原爆関連資料を活用し、ヒロシマを語ってきた。
日本語が達者なクマールさんは、第五陣が訪ねた際、自ら通訳を買って出た。メンバーと同行し、「ミッションの取り組みは、ただ平和を祈るのではなく、平和のためにイニシアチブを取って立ち上がるヒロシマの行動だ」と感じた。
今、その行動を引き継ぎながら、「インドの市民はまだ本当の意味で被爆の惨禍を分かっていない。南アジアの恒久平和を望むならヒロシマに学ぶべきですよ」と言う。
今年八月六日は、地域の数団体と「ヒロシマ・デー」のイベントを企画。核兵器廃絶の署名運動もしたいという。連日四〇度近いワルダで、クマールさんの思いも熱く燃えている。
【写真説明】人権擁護団体主催の集まりで、中国新聞の記事を示しながら子どもたちに「ヒロシマ」について語りかけるクマールさん=奥右側(本人提供)
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