中四国最大の都市である広島市の都心再生をどう進めるか―。中国新聞は昨年末、読者アンケートを実施し、ファクス・電子メールで読者と結ぶ「元気づくりネット」を含め、550通の回答が寄せられた。県内外の「広島人」をはじめ山口、島根県からも、仕事や通学、買い物、レジャーなどさまざまな角度から、広島都心への思い入れや提言が集まった。
「クルマや自転車に邪魔されず、歩きたい」「川に恵まれた都心環境は宝」「家族や大事な人と過ごす、とびっきりの見どころがほしい」―。
回答には、まちづくりへの共通の思いが底に流れていた。普段味わえない情緒や居心地を、心行くまで楽しめる都心にしたい、との願いである。ある人は「働き盛りの男性に都合よくつくった街を、女性や障害者、高齢者が安心して過ごせる街に改良しなければ」と書いた。
より高く、より速く、より大きく…。高度成長期にもてはやされ、バブル景気で弾みのついた「尺度」は、曲がり角を迎えている。世界に類を見ない高齢化が進み、わが国の総人口は二〇〇六年をピークに減少に転じる見込みだ。
都市も今、量から質へ、成長から成熟への転換を迫られているのではないか。「成熟都市、それは人間復権の都市」。多くの回答が醸し出す広島の都心再生の方向性は、こんな言葉でくくることができそうだ。
回答の一部を紹介する。
文・石丸賢、増田泉子 写真・山本誉
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