ヨーロッパ

平和・自由・人権世界センター(フランス)

(09年8月28日)

◆広報主任 セバスチャン・ブリジオン

 ベルギー国境近くのフランス北東部にあるベルダンは第1次世界大戦最中の1916年2月から12月にかけ、ドイツ、フランス軍による人類史に残る激戦「ベルダンの戦い」が繰り広げられた。戦場はわずか10キロ四方に満たないにもかかわらず、約70万人もの死傷者と不明者が出たとされる。

 この地にある当センターは、紛争に対する意識を高め、新たな紛争を防ぐことを主な目的にしている。常設展「戦争から平和」は領土や資源の獲得、報復、同盟関係など戦争を引き起こす原因を紹介。同時に、市民活動や人権擁護、メディアの活用により平和を確立する方法を解説している。

 世界平和の維持と促進のため、1990年にベルダン町議会などが平和・自由・人権世界センター協会を設立。94年にセンターを開設した。建物は16世紀に司教邸宅として建てられ、18世紀に建て替えられた宮殿。ベルダンの戦いで損傷を受け、後に復元された。

 シンポジウムや著名な芸術家の作品展も開催。最近では「ヒトラー青年隊」「平和のためのデッサン」などを開いた。イスラエルとパレスチナ、ボスニア・ヘルツェゴビナの異なる三つのコミュニティーなど、敵対する地域の若者を招いて話し合う「国際平和会議」も毎年のように開く。平和は守るべきもの、ということを多くの人々が気づいてほしい。

住所 Place Monseigneur Ginisty BP 10183 55100 Verdun France
電話 +33(0)3-29-86-55-00
ホームページ http://www.centremondialdelapaix.eu
休館日 月曜、クリスマス前後
入館料 大人3ユーロ(400円)、18歳未満の学生1.5ユーロ、12歳未満無料

(2009年8月18日朝刊掲載)

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「人類の仕事-苦しみから希望へ」をテーマに昨年夏に開いた芸術作品展


司教の図書室だった部屋で開かれた現代アート展。この部屋は当時のままの姿をとどめており、現代アートと過去の対話が生まれた


平和・自由・人権世界センターの外観。以前は司教公邸だった