特集 「被爆60年 被爆者・若者アンケート」
原爆投下から六十年。被爆者の平均年齢は七十三歳を超え、その肉声を直接耳にする機会は少しずつ減ろうとしている。あの日の体験を世代を超えて伝え、そうして被爆地全体の記憶として刻み共有する。急がなければと焦る被爆者、受け止める難しさに戸惑う若者たち…。歳月を重ねるごとに困難さを増す体験継承の営みを追う。(担当 宮崎智三、桜井邦彦、門脇正樹、加納亜弥)
第2部 聞こえなかった原爆 (2005.7.17〜7.21)
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六十年前、未曾有の被害をもたらした原爆。そのすさまじい音が、聞こえなかった人たちがいる。静寂の中、想像を絶する光景を記憶に刻んだ被爆ろう者は、言葉で体験を伝えられないもどかしさを抱えながら、戦後を生きてきた。広島で原爆の威力にさらされた約百四十人(「被爆ろう者を偲(しの)ぶ会」調べ)のろう者も今は五十人足らずになった。手話通訳者を介し、あの日をたどる。(担当 野崎建一郎、木ノ元陽子)
第1部 原爆小頭症患者は今 (2005.7.10〜7.15)
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妊娠初期の胎内で強い放射線を浴びると、頭囲が小さく生まれ、知的・身体障害を伴う場合がある。「原爆小頭症」と呼ばれる。厚生労働省が認定する患者数は、全国で二十二人(二〇〇三年度末)。周囲の理解を求めながらも偏見を恐れ、社会の片隅を生きてきた患者や家族が多い。あの日から六十年。被爆地に刻みこまれた記憶が薄れないうちに、被爆体験を次世代が継承していくために、まず、ある小頭症患者の軌跡をたどる。(担当 門脇正樹)
1 | 母と娘 | 一秒でも長く生きたい |
2 | 誕生 | 新たな命貫いた放射線 |
3 | 距離 | 遠い被爆地 疎外感募る |
4 | 出会い | 「きのこ会」悩み分かつ |
5 | 終身保障 | 支える親に老いの現実 |
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