中国新聞TOP連載「記憶を刻む」原爆・平和情報


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自由記述<若者>

自由記述<被爆者>

若者への質問と回答

被爆者への質問と回答

解説

被爆体験継承「不十分」3割
被爆60年 被爆者・若者アンケート

厚い世代の壁 記憶どう共有

 原爆投下という人類未曾有の惨状を体験した被爆地広島で、次世代への体験継承がうまくできていないと感じる被爆者と若者は、ともに三割を超すことが二十二日、中国新聞社が実施した被爆六十年のアンケートで分かった。原爆投下を容認する考えが若者の25%強を占めるなど、被爆者との意識のギャップも浮かび上がった。被爆者の高齢化が一段と進む中で、体験継承や核兵器廃絶に向け、世代を超えた意識の共有と行動が急がれる。

■投下容認25% 中・高・大学生

グラフ「被爆体験はうまく次世代に継承できているか」

 アンケートは六月下旬〜七月上旬に実施した。被爆者は、広島、福山、呉市や周辺の千三百人を対象とし、半数を超える六百八十四人から回答を得た。若者は、広島市内の中、高、大学の生徒と学生合わせて六百六人からの回答を集計した。

 次世代への被爆体験継承が「できている」と答えたのは、被爆者が2・6%、若者は6・8%にとどまった。「ある程度できている」を含めても被爆者は45・4%と半数に届かず、若者は55・8%と10ポイント強上回った。

 逆に「できていない」は被爆者が5・0%、若者が6・6%で、「あまりできていない」を合わせると被爆者は39・1%と四割に迫り、若者も32・0%に上った。

 継承が進まない理由(自由記述)では、「六十年も昔のこと。被爆者が身近にいないので、ひとごととしか思えない」(高校一年女子)「日常に根ざして考えられない」(大学一年女子)など、受け止める側の意識や関心の低さが表れた。被爆者には「悲惨な体験を振り返りたくない」との声も少なくない。

 原爆投下の是非は、「戦争中でやむを得なかった」などと容認・受忍する回答が若者で25・3%となり、被爆者の18・9%を6ポイント強上回った。「許せない」は若者が13・9%で、被爆者の23・2%を10ポイント近く下回った。

 日本の安全保障を米国の核兵器に頼る「核の傘」をめぐっては、被爆者は「必要」と考える人が23・5%、「必要ない」が24・6%と意見が分かれた。若者は「必要ない」が50・2%と半数を超え、「必要」は17・3%。必要論は被爆者に目立った。

≪アンケートの方法≫被爆者に対しては2つの広島県被団協の協力を得て広島、福山、呉市と周辺市町の計1300人にアンケート用紙を配り、記入を依頼した。684人から回答を得た。回答率は52・6%。若者に対しては広島市内の中学、高校、大学の協力を得て、クラス単位など合わせて606人から回答を得た。内訳は中学生が196人、高校生は220人、大学生は190人だった。

(2005.7.23)


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