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あの人思う鐘の音響く 笠岡などで慰霊式 '08/8/7

 広島が「原爆の日」を迎えた6日、県内でも笠岡市など各地で鎮魂の式典や集いがあった。参加者は犠牲者を悼み、被爆体験の継承や核兵器廃絶への思いを新たにした。

 ▽好物供え遺族合掌

 笠岡市原爆死没者鎮魂式・平和祈念の集いは、笠岡のかさおか平和のひろばであり、被爆者や遺族ら約六十人が参列した。

 昨年度、市内で亡くなった被爆者二人の名前が読み上げられ、高木直矢市長が「哀悼の誠をささげ、核兵器のない平和な世界実現に向け粘り強く訴えていく」とあいさつ。投下時刻の午前八時十五分に全員で黙とうした。

 参列者は平和祈念碑に白菊をささげて鐘を鳴らし「原爆を許すまじ」を合唱した。主催した市非核平和都市宣言啓発実行委員会(十団体)を代表し、市原爆被爆者会(八十九人)の筒井守会長(79)が「若い世代に核兵器の恐ろしさを伝え、世界の恒久平和に向け活動を続けていく」と誓いの言葉を述べた。

 被爆時、広島市鷹匠町(現中区本川町など)に住んでいた笠岡市金浦の祝(はふり)正子さん(95)は「夫の母を捜し回ったが骨すら見つからない。食べてもらう約束だった好物を供えたい」と祈念碑前にモモを置き、手を合わせていた。

 岡山市では市原爆被爆者会が東山斎場の市原爆死没者供養塔前で慰霊式をし約四十人が参列した。倉敷市では市職員労働組合が主催し、市役所と玉島など三支所の前で市民や職員計約二百五十人が平和の伝言を付けた風船を飛ばした。

 ▽金浦中生が参列 継承の思い学ぶ 笠岡

 六日あった笠岡市原爆死没者鎮魂式・平和祈念の集いに同市金浦中の生徒が加わり、被爆者の話を聞いた。八回目となった集いへの中学生の参列は初。被爆体験の継承に明るい光が差した。

 佐藤真耶さん(14)ら平和をテーマに自主学習をしている三年女子四人。大人に交じって黙とうや献花をした。式典後は市原爆被爆者会の筒井会長と土屋圭示事務局長(80)に被爆時の状況や会の活動、今の気持ちなどを尋ね写真やメモに収めた。

 佐藤さんは「核兵器廃絶のため悲惨な体験をあえて伝える強い思いが伝わってきた」と真剣な表情だった。四人は学習を続け、十月の文化祭で発表する予定。土屋事務局長は「これを機に平和学習での参列が広がってほしい」と期待していた。(杉本喜信)

【写真説明】<左>鎮魂式に参列後、筒井さん(右端)や土屋さん(右から2人目)の話を聞く金浦中の3年生<右>碑に花などを供え、鐘を鳴らして死没者の冥福を祈る被爆者(笠岡市のかさおか平和のひろば)


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