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平和公園設計 60年前の写真見つかる '09/7/16

 ▽故丹下氏が模型精査

 被爆地広島の復興の象徴、平和記念公園(広島市中区)の設計風景を収めた60年前の写真が、東京都内で保管されていることが15日、分かった。後に世界的建築家となる設計者の丹下健三氏(1913〜2005年)が模型を眺めるカットなど10点。市公文書館は「これまで確認されていない写真で復興の重要な場面の貴重な資料」としている。

 市が公園の設計競技を実施した1949年の撮影。東京大助教授だった丹下氏からの依頼を受け、公園と原爆資料館の模型を作った植野石膏模型製作所(東京都新宿区)が保管していた。

 丹下氏が公園の模型を眺めている写真は同社の当時の工房で撮られた。模型には、現在の原爆慰霊碑の場所に当初計画されていた平和記念の巨大アーチもある。アーチは高さ60メートル、幅120メートルの構想だった。現在の原爆資料館東館の位置に建設した平和記念館の模型を、同社から東京大までリヤカーで運んでいるとみられる場面もある。

 今年は公園整備の原動力となった広島平和記念都市建設法の公布60周年。市公文書館は18日から8月9日まで平和記念公園と丹下氏に関する企画展を原爆資料館で開き、1月に内容が判明した丹下氏の設計当時の書簡を初めて一般公開する。

 今回確認された写真も急きょ、画像データの提供を受けて展示する同館は「復興の中心施設が図面から立ち上がっていく瞬間を記録した貴重な資料。工房の様子やリヤカーから戦後まもない雰囲気も伝わる」と説明している。(水川恭輔)

【写真説明】平和記念公園の模型を製作会社の工房で眺める丹下(左)。写真右下に原爆ドーム、中央に巨大アーチがそびえる。右は製作会社の当時社長の故植野正一氏。(植野石膏模型製作所提供)


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